
スノーピーク ランドロックX(TP-672)徹底解説|旧ランドロックから何が変わったか【2026年新型】
迷ったらこの2つ — まず候補を絞る
予算・用途に合わせて選んでください
スノーピーク ランドロックX(TP-672)徹底解説|旧ランドロックから何が変わったか【2026年新型】
スノーピークが17年ぶりにフラッグシップシェルターをフルモデルチェンジしました。ランドロックX(TP-672)です。
結論から言います。ランドロックXは「旧ランドロックの正当進化」です。設営の大変さと重さという2大弱点のうち、設営はほぼ解消。重さはわずかに増えましたが、それを補って余りある新機能が盛り込まれました。価格は249,700円。高い。でも、これが10年以上のスノーピーク最高峰を求めるなら、むしろ妥当な水準だと思っています。
発売日は2026年6月27日で、すでに発売されています。ただ僕はまだ実機を手にしていないため、本記事は公式スペック・プレスリリース・メディアレビュー(GARVY+等)をベースに書いています。入手次第、設営時間の実測・居住性・結露量のデータを追記していきます。その点はご了承ください。
旧ランドロックについては、僕はアメニティドームLを10年以上使ってきた経験があります。同じ150Dポリエステルを使った生地の質感、経年劣化の具合はよく知っています。そのベースがあって初めて、ランドロックXの変化がどれほど本質的かを判断できると思っています。
ランドロックX誕生の背景
旧ランドロック(TP-671)は2008年の発売以来、スノーピークの2ルームシェルターの頂点として約17年間、ほぼ変わらぬ設計で販売されてきました。それ自体が品質の証明ではありますが、同じ期間にキャンプ市場は大きく変わりました。
ファミリーキャンプの参加者が増え、初心者でも扱いやすいテントの需要が高まりました。冬キャンプの人気が上がり、薪ストーブ対応というニーズが生まれました。そして環境配慮への意識が高まり、PFASフリーという選択が業界標準になりつつあります。
ランドロックXはこれらの変化に全方位で応えた製品です。スノーピークが「X」という名前をつけたのは、従来の延長ではなく「次の世代」を意識した命名だと解釈しています。公式の説明では「ランドロックを知り尽くしたチームが、ゼロベースで設計し直した」という趣旨のコメントがプレスリリースに含まれていました。
スノーピークにとってランドロックは象徴的な製品です。そのフルモデルチェンジに17年を費やしたこと、そしてDACとの共同開発・可変インナー・天窓という複数の革新を同時に盛り込んだことを考えると、ランドロックXはスノーピークが本気で長期使用を想定して作った製品だと思います。
ランドロックXの基本スペック
| 比較項目 | Snow Peak スノーピーク ランドロック X | Snow Peak スノーピーク ランドロック |
|---|---|---|
| 価格 | ¥249,700 | ¥132,000 |
| 総合評価 | ★★★★★ 0 / 5 | ★★★★★ 5 / 5 |
| PFAS | フリー(不使用) | — |
| 型番 | TP-672 | — |
| 天窓 | あり | — |
| 定員 | 4人(可変インナー:2人/4人切替) | 4〜6人 |
| 発売 | 2026年6月27日 | 長期販売継続品 |
| 遮光 | 遮光ピグメントPUコーティング | なし |
| 重量 | 約25.5kg | — |
| 耐水圧 | 3000mm(フライ/ルーフ)、1800mm(スカート) | 3000mm |
| スカート | あり(全周) | あり |
| フレーム | DAC製 DA17 アルミニウム合金(φ18.55mm/φ16mm) | — |
| 前室の広さ | 有効面積10%拡大(旧ランドロック比) | 約290×380cm |
| 収納サイズ | 75×32×30cm(本体)、72×22×18cm(フレーム) | — |
| 展開サイズ | 625×405×205cm | 625×405×205cm |
| 設営難易度 | 中級(旧ランドロックより大幅改善・スリーブ1箇所のみ) | やや複雑 |
| インナーサイズ | 可変式(左右取付可) | 310×240cm |
| シールドルーフ | 標準付属 | — |
| 薪ストーブ対応 | あり(別売フライカバーTC使用時) | — |
| 購入する |
補足スペック詳細
公式スペックをもとに、旧ランドロック(TP-671)と並べて整理します。
| 項目 | ランドロックX(TP-672) | 旧ランドロック(TP-671) |
|---|---|---|
| 品番 | TP-672 | TP-671 |
| 価格(税込) | 249,700円 | 217,800円 |
| 外寸(W×D×H) | 600×405×205cm | 600×405×205cm |
| インナー有効面積 | 公式未公表(旧比約+10%) | 約240×230cm |
| フライシート素材 | 75D シリコンポリエステルリップストップ | 150D ポリエステルタフタ |
| フライ耐水圧 | 3,000mm | 1,800mm |
| ポール素材 | DAC DA17アルミ合金(φ18.55mm) | スチール(φ19mm) |
| 重量 | 25.5kg | 24.4kg |
| 収納サイズ | 83×35×36cm | 83×35×35cm |
| 付属品 | シールドルーフ、ジュラルミンペグ×32、ハンマー | ジュラルミンペグ×28、ハンマー(シールドルーフは別売) |
| PFASフリー | ○ | × |
| 天窓 | ○(煙突穴兼用) | × |
| 可変インナー | ○(2人/4人切替、左右取付可) | ×(固定インナー) |
外寸はまったく同じです。同じ設置面積で内部を広くしたのがランドロックXの設計思想です。重量は1.1kg増えていますが、フライシートの素材が75D(旧は150D)に薄くなっていることを考えると、重量増のほぼすべてはフレーム関連(DACアルミポール・可変インナー機構・天窓機構)と追加付属品(シールドルーフ)の重量に由来すると考えられます。
フライの耐水圧は1,800mmから3,000mmへと大幅に向上しています。シリコンポリエステルリップストップは加水分解に強い素材で、旧ランドロックで報告されていたシームテープ劣化や撥水性低下の問題が大幅に改善されることが期待できます。
旧ランドロックから何が変わったか(7つの進化ポイント)
1. DACフレームの採用(最大の変更点)
ランドロックXの最大の変更点がフレームです。スチールからDAC製のDA17アルミ合金(φ18.55mm)に変わりました。
DACはヘリノックスの親会社として知られる韓国のフレームメーカーです。DAC(Dongah Aluminium Corporation)は1991年創業で、軽量・高剛性なアルミポールを世界中のアウトドアブランドに供給しています。ヘリノックスのチェアやテントで知られるDACのポールは、モンベル・ビッグアグネスといったブランドも採用しており、アウトドア業界でのブランド信頼性は群を抜いています。
スノーピークがDACと共同開発したという事実は、フレーム設計にかなりのコストと技術が投入されていることを意味します。φ18.55mmというポール径はφ19mmの旧スチールとほぼ同径でありながら、アルミ化による軽量化とサビへの耐性を両立しています。
旧ランドロックのスチールポールは年数が経つと錆が出やすく、フレームのメンテナンスが設営・撤収以外にも必要でした。DACアルミはこの問題に対して根本的な解決策です。
DA17合金はDACの独自素材で、一般的な6000系アルミより高強度・高靭性とされています。大型シェルターで風荷重にさらされる場面での耐久性が、スチールと同等以上に保たれていることがポイントです。
2. 設営の大幅改善
旧ランドロックのユーザーが口をそろえて言う不満が「設営が大変」でした。
旧ランドロックの設営工程を振り返ると、複数箇所のスリーブにポールを通す作業があります。大型のフライシートを広げた状態でスリーブにポールを差し込み、曲げながら通していく作業は、特に初回・2回目のキャンパーには相当の労力です。ポールが長いため、1人が差し込みながら1人がガイドするという連携が必要になることも多く、「2人でも30〜40分かかった」という声は珍しくありません。
ランドロックXではこの設営システムが根本から変わっています。プレスリリースによると、スリーブへのポール通し箇所が大幅に削減(実質1箇所)され、メインはフック吊り下げ方式になりました。フックをポールに掛けていくだけで骨格が完成する設計で、スノーピーク公式はこの方式を「スリーブ1本+フック吊り下げハイブリッド方式」と説明しています。
さらにポールブーツジョイントが改良されています。これはポールの先端(接地点)に取り付けるジョイント部品で、旧ランドロックでは設置が手間取ることがありましたが、ランドロックXでは直感的に接続できるよう設計が変わりました。
GARVY+のメディアプレビューでは「女性1人でも設営が格段に楽になった」「経験者なら15〜20分で設営できる水準」という評価が出ていました。旧ランドロックに慣れた経験者でも、初めてランドロックXを設営した方が短時間で完成するというのは、設営システムの改善が本質的であることを示しています。
3. 有効面積+10%(外寸そのまま)
外寸は旧ランドロックと変わりません。600×405×205cmはそのままです。
それなのに有効面積が10%増えた。どういうことかというと、壁面の立ち上がり角度を変えたからです。旧ランドロックはテント生地がある程度の斜角で立ち上がっていましたが、ランドロックXでは壁面がより垂直に立ち上がる構造になっています。
これが「ストレートウォール構造」と呼ばれる設計です。傾斜がある壁では、床面積のうち壁際に向かうにつれて立ち上がりが狭くなるため、実際に使えるスペースが内側に限られます。垂直に近く立ち上がる壁では、壁際まで使えるスペースが広がります。同じフットプリントでも、体感的な広さが変わるわけです。
家族4人でリビングスペースを使うとき、1割増しは体感できるサイズ感の差があります。コット2台を並べるレイアウト、大きなテーブルを中央に置くレイアウト、荷物の配置などに余裕が生まれます。
旧ランドロックユーザーの間で「広そうなのに意外と狭く感じる」という声があったのは、この壁面傾斜が原因のひとつだったと思います。外寸は立派なのに、実際に使えるスペースが壁際から内側に縮んでしまう。ランドロックXではこの感覚的なギャップが解消されます。
4. 天窓の新設(採光+煙突穴の二刀流)
旧ランドロックにはなかった天窓が追加されました。
この天窓は機能面で2つの役割を持っています。
ひとつは採光です。テントの天頂部から自然光が入るため、昼間のリビング空間の明るさが大幅に改善されます。旧ランドロックは出入り口やベンチレーションを開けないと中が暗くなりがちで、昼間でもランタンが必要な場面がありました。天窓があれば、晴天時には自然光だけで十分明るいリビング空間が実現します。
もうひとつは煙突穴です。天窓の開口部を薪ストーブの煙突が通せる構造になっています。ランドロックXは薪ストーブ対応を正式に想定した設計になっており、この天窓がその核心的な変更点です。旧ランドロックで薪ストーブを使う場合、出入り口や別途加工した穴から煙突を通すしかなく、安全性・利便性ともに課題がありました。
天窓の開閉はベンチレーション兼用になっており、開度調整ができる仕様です。夏場は通風・換気目的で、冬場は薪ストーブの煙突穴として使い分けられます。
5. 可変インナーシステム(2人/4人・左右取付)
旧ランドロックはインナーが固定でした。取り付け位置も1パターンのみ。
ランドロックXでは可変インナーを採用しています。2人用と4人用を切り替えられ、さらにインナーの左右取付が可能です。これは実質的に、季節・人数・使い方によって内部レイアウトを変えられるということです。
たとえば夫婦ふたりだけでのキャンプなら2人用インナーにして、広いリビングスペースを確保する。家族4人なら4人用インナーにする。子どもが独立して夫婦だけになったら、また2人用に戻す。この1張りが家族のライフステージを通じて使い続けられる設計です。
インナーを左側に付けるか右側に付けるかは、サイトのレイアウトや焚き火の位置に応じて決められます。旧ランドロックでは「インナーの向きが固定されているため、サイトの使い方に制限が出る」という声がありましたが、それが解消されます。
インナー切替は単に「人数に合わせる」だけでなく、使い方の想像力を広げてくれます。たとえば秋のデイキャンプでは「全空間をリビングとして使って焚き火を楽しむ」、真冬は「4人用インナーを入れて薪ストーブで暖かい夜を過ごす」という使い分けが1張りで実現します。これが長期所有前提のフラッグシップにふさわしい設計です。
6. シールドルーフの標準付属
旧ランドロックではシールドルーフが別売でした。スノーピーク公式での旧ランドロック用シールドルーフ(TP-671SR)は26,400円(税込)のオプションです。
ランドロックXにはシールドルーフが標準付属します。シールドルーフはテントの天面に重ねるカバーで、3つの主要な機能があります。
結露防止が1つ目です。テントの天面が内側と外側の温度差で結露しやすい環境(特に秋冬)で、シールドルーフを重ねることで結露量を大幅に減らせます。旧ランドロックを秋冬に使うユーザーからは「朝の結露対策でシールドルーフは必須」という声が多かった。
遮熱が2つ目です。夏の直射日光を2重に遮ることで、テント内温度の上昇を抑えます。夏のキャンプではシールドルーフの有無でリビング内の体感温度が変わります。
遮光が3つ目です。光の差し込みを減らすため、早朝の強い光で目が覚めにくくなります。家族キャンプで小さい子どもがいる場合、これは地味に重要です。
旧ランドロック購入者がシールドルーフを買い足すと217,800円+26,400円=244,200円。ランドロックXが249,700円ですから、差額は5,500円になります。
7. PFASフリー素材(環境配慮)
フライシートの防水加工がPFASフリー(フッ素系撥水剤不使用)になりました。
PFAS(Per- and polyfluoroalkyl substances)は有機フッ素化合物の総称で、難分解性から「永遠の化学物質」と呼ばれています。自然界に蓄積し、人体・生態系への影響が懸念されています。EU・米国ではPFASを含む製品への規制が進んでおり、2025年以降に欧米でアウトドア製品の販売を続けるには対応が必須の状況です。
スノーピークがランドロックXのフライにPFASフリー素材を採用したのは、グローバル市場での展開を見据えた選択でもあります。PFASフリーの撥水加工は従来のフッ素系より撥水性が劣るケースがありましたが、近年の技術向上で性能差は縮小しています。耐水圧3,000mmという数値を見れば、PFASフリー化が防水性の低下を招いていないことは明らかです。
長期使用の観点でも、PFASフリー素材は加水分解のリスクが旧素材より低い傾向があり、10年以上の使用を想定するユーザーにとっては好ましい変更です。
旧ランドロックの弱点はどこまで解消されたか
僕は旧ランドロックを所有していないものの、同じ150Dポリエステルを使ったアメニティドームLを10年近く使っています。旧ランドロックのユーザーの声や周囲の評価をもとに、弱点が解消されたかどうかをケース別に整理します。
設営が大変 → ほぼ解消
旧ランドロックの最大の不満がこれです。大型テントのためスリーブにポールを通す作業が多く、慣れるまでに時間がかかりました。特に初回・2回目の設営では「もう二度とやりたくない」という感想を持つキャンパーもいたほどです。
ランドロックXではフック吊り下げ方式が主体になり、スリーブへの通し作業が大幅に削減されています。GARVY+のプレビューでも「女性が初めて設営しても格段に楽だった」という記載があります。
設営難易度という点では、大型2ルームテントとしての標準を超えて、「設営のしやすさがセールスポイント」になるレベルまで改善されたようです。これが旧ランドロックユーザーにとって最も価値のあるアップデートです。
重い → 解消されていない
旧ランドロックは24.4kg、ランドロックXは25.5kgです。1.1kgの増加。
フレームがDACアルミになった分、インナーの可変システム・シールドルーフの標準付属・天窓機構の追加分が重量として乗ってきました。
ただし25kgというのは大型2ルームシェルターとしては標準的な水準です。コールマン タフワイドドームやオガワのティエラなども20〜25kg台が多く、ランドロックXが突出して重いわけではありません。車積みをメインにするファミリーキャンパーなら許容できる範囲だと思います。
重量に関して言えば、設営・撤収のたびにテントを持ち上げる場面を考えると、1.1kgの増加よりも設営のしやすさ改善の方が体感的な「重さ」に与える影響は大きいと思います。「テントが重い」と感じる原因の多くは、実際の重量よりも設営中の取り回しの悪さや疲れからくるものです。フック吊り下げ方式で設営の手間が減れば、同じ重量でも「軽くなった」と感じるキャンパーがいても不思議ではありません。
前室しか使えない → 用途が大幅に広がった
旧ランドロックは固定インナーのため、使い方に制限がありました。インナーの位置が決まっているため、リビングとベッドルームの配置が固定され、サイトのレイアウトによっては使いにくい場面もありました。
ランドロックXの可変インナー(左右取付・2人/4人切替)と天窓(採光・換気)により、用途の幅が大きく広がりました。「インナーを省略してシェルター全体をリビングとして使う」という使い方も可能になりました。
フライシートの劣化 → 大幅改善
旧ランドロックの150Dポリエステルタフタは、5〜7年目あたりでシームテープの劣化や防水性の低下が報告されていました。アメニティドームLと同じ素材だったため、僕も同様の経験があります。夏の高温多湿環境でテントを長期保管すると、シームテープが剥がれやすくなります。
ランドロックXは75Dシリコンポリエステルリップストップに変わっており、シリコンコーティングは加水分解に強い特性があります。旧に比べると長期使用での劣化が緩やかになることが期待できます。耐水圧も1,800mm→3,000mmへ向上しており、雨天への対応力も上がっています。
価格249,700円は高いのか
旧ランドロックは217,800円でした。差額は31,900円です。
一見すると「3万円以上の値上げ」ですが、この数字だけを見て判断するのはもったいない。内訳を分解すると見え方が変わります。
シールドルーフ標準付属で実質差額は5,500円
旧ランドロックでシールドルーフ(TP-671SR)を買うと26,400円の追加コストがかかります。同等の装備を揃えると217,800円+26,400円=244,200円。ランドロックXの249,700円との差額は5,500円です。
さらにペグが旧の28本からランドロックXでは32本に増えています。スノーピークのジュラルミンペグ(ソリッドステーク)は単体で数百円〜千円程度するため、4本分の追加ペグも実質コストに含まれます。
これらを合算すると、ランドロックXのコストアップ分は実質ほぼゼロか、むしろ旧より安いと見ることもできます。そこにDAC製アルミフレーム・可変インナー・天窓・PFASフリー化というアップデートが乗っています。
DACフレームの価値
DACフレームを後から購入しようとすると、大型テント1張り分で数万円のコストがかかります。スノーピークとDACの共同開発フレームがランドロックXに標準搭載されているのは、素材コストという観点では旧より大幅にコストが上がっている部分です。それが249,700円という最終価格に収まっているのは、スケールメリットと長期戦略の表れだと思います。
ランドネストシェルターとの比較
スノーピークのシェルターラインナップでランドロックXの下に位置するのが、ランドネストシェルター(87,780円)です。差額は161,920円。
ランドネストシェルターはインナーテントが別売で、より軽快に使えるシェルター。ランドロックXはインナー・シールドルーフまで含むオールインワンのフラッグシップです。どちらが「上」ということではなく、目的が違う製品です。
10年使うと考えると
スノーピークの永久保証(生涯修理対応)を活かして10年使うと仮定すると、1年あたりのコストは約25,000円。月2,000円程度で最上位クラスの2ルームシェルターが使えると考えると、長期使用視点では十分に合理的な判断です。

Snow Peak
スノーピーク ランドロック X
17年ぶりの大進化。DAC共同開発フレームで剛性と設営性を両立。有効面積10%拡大、天窓、可変インナー、薪ストーブ対応。スノーピーク2ルームの新フラッグシップ。
オプション品ガイド
ランドロックXには本体249,700円のほかに、いくつかのオプション品があります。それぞれの必要性と用途を整理します。
マットシートセット TP-672-1:39,600円(強く推奨)
インナーテントの底面に敷くマット一式です。グランドシートとインナーマットがセットになっています。
インナーテントの床は標準では付属しないため、快適な睡眠を確保したい場合はこのセットが実質必須です。スノーピーク純正のマットはサイズ精度が高く、インナーテントへのフィット感が抜群です。ファミリーキャンプでランドロックXを使うなら、本体+マットシートセットで289,300円がスタート価格と考えておくのが現実的です。
フライカバーTC TP-672-2:127,600円(薪ストーブ使用者のみ)
天窓部分をポリコットン(TC)素材のカバーに変えるオプションです。TCは綿と合成繊維の混紡で難燃性があり、薪ストーブの煙突が接触する天窓周辺の安全性が高まります。
薪ストーブを使わないなら不要です。ただし薪ストーブを使うなら、安全面で省くべきではありません。価格は127,600円と高額に感じますが、火災リスクを減らすための投資として考えるのが妥当です。なおTCはポリエステルより重く、結露しやすいという特性もあります。薪ストーブを使わない季節はフライカバーTCを取り外してポリエステルフライのみで使うのがおすすめです。
MKストーブ ST-110:390,500円(上級者向け・店頭販売のみ)
スノーピーク純正の薪ストーブです。ランドロックXの薪ストーブ対応設計に合わせて展開されるオプションですが、価格は390,500円と本体を上回ります。店頭のみでの販売のため、実店舗での確認が必要です。
他社製の薪ストーブとの組み合わせも技術的には可能ですが、スノーピーク純正設計を活かした安全性を最大化するなら純正品が推奨です。
フルセット総額の試算
| 構成 | 概算総額 |
|---|---|
| 本体のみ | 249,700円 |
| 本体+マットシートセット | 289,300円 |
| 本体+マットシートセット+フライカバーTC | 416,900円 |
| 本体+マットシートセット+フライカバーTC+MKストーブ | 807,400円 |
薪ストーブまで含む最上位構成で80万円超。ギアではなく、もはや小屋を買う感覚に近い価格帯です。
こんな人におすすめ / おすすめしない
おすすめの人
旧ランドロックの設営に疲れた人
設営の大変さが旧ランドロックを売却した・使わなくなったという人は多い。ランドロックXではその問題がほぼ解消されているため、「もう一度スノーピークの最上位シェルターに戻りたい」という人には強くおすすめできます。設営でのストレスが解消されるだけで、キャンプの楽しさが変わります。
10年以上使い続けるフラッグシップが欲しい人
スノーピークの永久保証を活かして10年以上使う前提でギア選びをしているなら、ランドロックXは有力候補です。素材の耐久性向上(シリコンポリエステル・DACフレーム)も、長期使用視点では旧より優れています。
薪ストーブで冬キャンプを楽しみたい人
天窓が煙突穴を兼ねており、フライカバーTCと組み合わせることで薪ストーブを安全に使える設計になっています。旧ランドロックでは実現が難しかった「シェルター内薪ストーブ」が設計レベルで対応しています。
家族の人数が変わることを見越している人
可変インナー(2人/4人切替)により、子どもの成長やキャンプスタイルの変化に対応できます。今は4人家族でも、子どもが大きくなってデュオキャンプがメインになったとき、インナーを2人用に切り替えれば快適に使えます。
おすすめしない人
年数回のライトキャンパー
年1〜2回しかキャンプに行かないなら249,700円の投資対効果は薄い。スノーピークのランドネストシェルターや他ブランドの大型2ルームテントで十分です。ランドロックXの性能は使用頻度が高い人ほど価値を実感できます。
「いつかこのテントを使いこなせるようになったら」という動機で購入し、年1〜2回しか使わないまま保管が続くケースも珍しくありません。大型の高品質テントは保管状態が悪いと劣化が早まります。使用頻度が低い場合、最初から予算に見合った製品を選んだ方がテントも長持ちします。
積載に余裕がない人
25.5kgの重量と83×35×36cmの収納サイズは、積載スペースが限られる車では厳しい。他のキャンプ道具との兼ね合いで積載プランが複雑になります。積載量に余裕のある車(ミニバン・SUV・ステーションワゴン)が前提です。
予算15万円以下で探している人
ランドロックXの実際のスタート価格はマットシートセットを含む289,300円です。予算15万円以下であれば、他ブランドの選択肢を検討してください。スノーピーク内で予算を抑えたいなら、ランドネストシェルターが入口になります。
旧ランドロックユーザーは買い替えるべきか
2026年6月27日の発売後、もっとも多い質問がこれです。旧ランドロックを持っているユーザーにとって、これが一番気になる問いだと思います。状況によって答えが変わるので、ケース別に整理します。
設営ストレスが最大の不満 → 買い替え強く推奨
旧ランドロックを使うたびに「設営が大変だな」と感じているなら、ランドロックXへの買い替えは強くおすすめします。設営難易度が最大の改善ポイントであり、旧ランドロックユーザーにとって最も価値のある変化がここにあります。
毎回のキャンプでストレスを感じるより、買い替えてキャンプが楽しくなる方がずっといい。行く前から「またあの設営か」と憂鬱になるなら、それはギアを変えるべきサインです。
生地もフレームも問題ない → 急がなくていい
購入から5年以内で、フライシートの劣化やフレームのトラブルが一切ない状態なら、急いで買い替える必要はありません。旧ランドロックは十分に優れたシェルターです。
次の買い替えタイミングは、旧が寿命を迎えたとき(シームテープの剥がれ・フライの撥水性喪失・フレームの破損)か、新機能(薪ストーブ・可変インナー)をどうしても使いたくなったときです。
薪ストーブを導入したい → 買い替え一択
旧ランドロックには薪ストーブ対応設計がありません。天窓もなく、煙突穴の設置には非推奨の改造が必要になります。冬の薪ストーブキャンプをやりたいなら、ランドロックXへの買い替えが最もスマートな判断です。
旧ランドロックを持ちながら薪ストーブ用に別のテントを購入するよりも、ランドロックXへ一本化する方が積載・設営・コスト管理の面でも合理的です。2つのシステムを維持するより、1張りに集約した方が長期的にはシンプルです。
旧モデルの中古リセールを活用する
旧ランドロックの中古市場での相場は、状態によって6〜13万円程度で取引されています(メルカリ・ヤフオク調べ)。状態が良く、シールドルーフや純正インナーマットが揃っていれば10〜12万円前後でリセールできる可能性があります。
ランドロックXが249,700円、旧ランドロックのリセールが10万円とすると、実質的な買い替えコストは約15万円です。10年以上使う前提なら十分に回収できる投資です。
リセール前に付属品(ペグ・ハンマー・シールドルーフ)を揃えておくと査定が上がります。汚れをしっかり落として、フライシートのシームテープの状態を事前に確認しておくことも大事です。
医師から一言:天窓と換気について
キャンプ好きな医師として、ランドロックXの天窓には医学的な視点からも触れておきたいと思います。
暖気は上に溜まる
暖かい空気は上方向に移動します。これは基本的な対流の物理です。テント内で暖房器具や人体の発熱があると、暖かい空気が天頂部に集まります。旧ランドロックのように天窓がない場合、この暖かい空気が滞留しやすい。換気のために出入り口を開けると、今度は冷気が直接入ってきて体感温度が急に下がります。
ランドロックXの天窓はこの問題に対して効果的です。天頂部の窓を少し開けることで、滞留した暖気を外に逃がしながら換気できます。出入り口を大きく開けなくても換気ができるため、冬場の室温管理がより細かくできるようになります。過暖房による不快感・脱水・睡眠の質低下を防ぐという健康上の意味もあります。
薪ストーブ使用時のCO中毒リスク
薪ストーブは不完全燃焼が起きると一酸化炭素(CO)を発生させます。COは無色無臭で、気づかないうちに症状が進みます。初期症状は頭痛・倦怠感・吐き気で、これを「眠いだけ」と誤認して重篤化するケースが毎年報告されています。重篤な場合は意識障害・心停止に至ります。
テント内での薪ストーブ使用は、適切な設計と換気があっても常にリスクが伴います。具体的な対策として以下を徹底してください。
- COアラームを必ず設置する(2,000〜3,000円程度の市販品で対応できます)
- 就寝中は薪ストーブを使わないか、使う場合は十分な換気を確保する
- 薪の量を抑えて低燃焼状態を維持する
- 定期的に換気を行う(天窓とベンチレーションを活用)
- フライカバーTC(難燃素材)を使用する
「スノーピーク公式が薪ストーブ対応と言っているから大丈夫」という思い込みは危険です。機器の設計が対応しているということは「使える」ということであり、「安全が保証されている」ということではありません。キャンプでのCO中毒事故の多くは「少しだけつけたまま寝てしまった」というケースです。使い方と準備次第でリスクは大きく変わります。
キャンプで薪ストーブを「おしゃれなインテリア」として使う人が増えていますが、安全の基礎知識なしで使うのはリスクが高い。ランドロックXの薪ストーブ対応設計は素晴らしいですが、それはあくまで「安全に使いやすくした設計」であり、「使えば安全」ではありません。換気・COアラーム・就寝中の管理を徹底した上で楽しんでください。
「テントで薪ストーブ」は冬キャンプの最大の楽しみのひとつです。正しく準備すれば、ランドロックXでの薪ストーブ体験は格別のはずです。
発売後の実機レビュー(随時追記予定)
2026年6月27日発売。入手次第、以下の項目を実測・確認して追記する予定です。
設営
- 大人2人での設営所要時間の実測
- 可変インナーの取り付けやすさ(左右それぞれの手順)
- ポールブーツジョイントの操作感
居住性
- 天窓の採光効果(晴天時の日中明るさ、旧ランドロック比較)
- 壁面垂直化による体感広さの変化
- 4人家族でのリビングスペース実用評価
耐候性
- 結露の発生量(秋・冬での使用後に追記)
- 雨天時の耐水性(フライ・シームの漏水確認)
- 強風時のフレーム剛性
薪ストーブ対応
- フライカバーTC装着時の設営手順
- 煙突穴(天窓)の煙突径との適合確認
入手のタイミング次第ですが、2026年秋のキャンプシーズンでの実使用後に更新する予定です。しばらくお待ちください。
正直、公式スペックとメディアレビューを読み込んだ段階での印象は「旧ランドロックユーザーが欲しかった全部が詰まっている」です。設営改善・天窓・可変インナー・DACフレーム。どれも「こうなってほしかった」という要素ばかりです。これが実機でどう感じるか、秋のレビューで確認します。
よくある質問
Q1. ランドロックXの発売日と価格は?
公式スペックによると、2026年6月27日発売、価格は249,700円(税込)です。本体にシールドルーフ、ジュラルミンペグ×32、ハンマーが付属します。スノーピーク公式オンラインストアのほか、全国のスノーピーク正規取扱店で購入できます。
Q2. 旧ランドロックとの一番の違いは?
設営システムの改善が最も大きな変化です。旧はスリーブへのポール通し作業が複数あり設営に時間がかかりましたが、ランドロックXではフック吊り下げ方式が主体になり大幅に楽になっています。次いでDACアルミフレームへの変更、可変インナーシステム(2人/4人・左右取付)、天窓の追加(採光・煙突穴兼用)が主要な変更点です。
Q3. 旧ランドロックは廃番になる?
スノーピーク公式からの廃番アナウンスは現時点(2026年7月)ではありません。ただし在庫限りになる可能性は高く、今後の動向は公式サイトで確認してください。旧ランドロックが手に入るうちは、価格差(約3万円)を考慮して旧を選ぶ判断も十分あり得ます。
Q4. ランドロックXは1人で設営できる?
プレスリリースでは「従来より大幅に設営が楽になった」とあり、GARVY+のプレビューでは女性1人でも格段に楽になったという評価が出ています。ただし25.5kgの大型シェルターのため、フライシートを広げる・ポールを起こすといった工程では2人の方がスムーズです。ソロでの設営は不可能ではないが、2人推奨が現実的です。
Q5. 冬キャンプで薪ストーブは使える?
ランドロックXは薪ストーブ対応設計で、天窓が煙突穴を兼ねています。安全に使うにはフライカバーTC(TP-672-2、127,600円)の使用を強く推奨します。また、COアラームの設置と適切な換気は必須です。
Q6. 区画サイト(10m×10m)に入る?
外寸600×405cmで旧ランドロックと同一のため、旧ランドロックが設置できたサイトなら同様に設置可能です。10m×10mの区画では本体は収まりますが、張り縄を広く展開すると余裕が少なくなります。コンパクトなアレンジが必要な場合もあります。
Q7. ランドネストシェルターとどっちがいい?
目的によって明確に異なります。ランドロックX(249,700円〜)はインナー・シールドルーフ込みで薪ストーブ対応の本格フラッグシップ。ランドネストシェルター(87,780円、インナー別売)はより軽快なシェルターで汎用性が高い。「家族4人で10年使いたい・薪ストーブもやりたい」ならランドロックX、「まず試したい・予算を抑えたい」ならランドネストシェルターです。
まとめ
ランドロックXは、旧ランドロックが抱えていた最大の弱点「設営の大変さ」をほぼ解消し、天窓・可変インナー・DACフレーム・薪ストーブ対応という新機能を盛り込んだ正当進化です。
価格249,700円は一見高いですが、シールドルーフ標準付属を考慮すると実質差額は旧との比較で約5,500円。DACフレームへの変更・PFASフリー化・設営改善というアップデートにかかる追加コストとして見ると、妥当な価格設定だと思います。
買い替え判断のポイントをまとめます。
- 旧ランドロックの設営に疲れているなら → 買い替えを検討する価値あり
- 旧モデルがまだ快調なら → 急がなくていい
- 薪ストーブで冬キャンプをやりたいなら → ランドロックX一択
実機での使用レビューは入手後に追記していきますが、スペック面での進化はこの記事で出そろっています。最新の価格・在庫は下のリンクから確認できます。

Snow Peak
スノーピーク ランドロック X
17年ぶりの大進化。DAC共同開発フレームで剛性と設営性を両立。有効面積10%拡大、天窓、可変インナー、薪ストーブ対応。スノーピーク2ルームの新フラッグシップ。